後書き

 


 

 気がつけば開始から丸四年……。無事に完結することが出来てホッとしています。
 気軽に更新できるコンテンツをと描き始めた本作でしたが、段々と絵にも本気になってきたというか……ドラクエ4コマみたいなデフォルメチックな作風にしようと思っていたのもどこへやら。次第に描き込みの量が増えて、頭身がぐんぐん伸びるわ、最終的に文章メインになるわ、まさにカオス。ただでさえ安定しない絵柄なのに読者の方にはさぞ見づらかったのではないかと反省しています。
 とはいえ、漫画形式に囚われない話作りは自分にとっても勉強になる試みでした。

 アレフガルド以降の展開を描くにあたり、「(遊び人→)賢者が一人でゾーマの城に辿り着くのは可能か」を実機(GB)で検証してみたりもしました。その結果、Lv.14(べホイミ覚えたて)でラダトームを旅立った賢者はLv.35ほどでゾーマ城に到着できることを確認。まぁ、仮に到達不可能という結論でもストーリーの流れは変えなかったと思いますが、二次創作は原作の裏付けがあると心強いので……!途中でドラゴラムを覚えたことなどは作品にも反映してみました。

 せっかくなので、裏話みたいなものも一つ。
 私の創作時における癖で、シリーズものを描く時には何か一つか二つ、自分への課題を定めています。大抵は、これはしない、という禁止事項なんですが、この遊び人シリーズでは @テーマは恋愛、ただしキスは禁止 Aボケとツッコミを控える  でした。
 それぞれの説明をすると、@については恋愛物の王道展開を封じてみようと思ったからです。描写するのは「手を繋ぐ」「抱き締める」まで。自分に対して釘を刺す意味でしたが、これは予想よりもラクに達成できました。よく考えると、私には濃ぉぉ〜い恋愛物を描く方がずっと難しかったような気がします。もし、もっとラブラブさせろや!という方がいらっしゃったらすみませんでした。
 Aについては、これも自分への課題として設定しました。私の作風…というのもなんだかおこがましい気がしますが、普通にしているとコメディになる傾向があるので、せめてギャグ要素を封印した毛色の違うものに挑戦してみようと。その結果、コメディ基調のシリアス恋愛物というワケの分からないものを目指すことになりました。
 あとは、登場人物は少なく、とか、自分なりのドラマチックとロマンチックを追求する、とかそんなことを頭の隅に置きつつの作業です。これらがどこまで達成できたかは皆様のご判断を仰ぐしかありませんが、案外ストレスなく描けたような気がします。

 ここからはキャラクターについての所感。


遊び人 遊び人
 年上ツンデレ系キャラの需要はあまりないだろうと思っていたのですが、サイト内人気投票ではまさかの一位。 実は支持されているキャラだったんだと知って驚きました。恋する乙女は強いんですね。
 拍手コメントでも「遊び人がんばれ!」と一言頂くことが多くかったので、うちのサイトの中で皆様からのご声援を最も受けたキャラなのではないかと思います。
 賢者になってもメンタリティは遊び人の頃と変わっていませんが、人間的にはかなり成長しました。エンディング後はどこで暮らしたとしても勇者と一緒ならそれで幸せだと思います。
 


勇者 勇者
 遊び人のことは何でもお見通し、と本人は思っていたのに実はあまり分かっていませんでした、というのがこのキャラの肝でしょうか。大事にするあまり遠ざけたものの結局は遊び人に助けられ、その愛の力に感服。遊び人には一生勝てないと思っていそうです。
 のほほんとしている割には愛情表現がストレートでした。本質的にはだいぶ強引なタイプなのだと思います。モノローグでは遊び人恋しさに若干ナーバスになってますね。
 彼の数少ないコンプレックスが身長、というどうでもいい設定があったりします。旅立ち当初は遊び人よりも背が低かったのですが、終盤で追いつきました。子孫の教育は厳しくするそうですが、遊び人にはずっと甘いままでしょう。
 


商人 商人
 物語の後半でだいぶ株を上げたのではないでしょうか。当初はちょっと嫌な立ち位置でしたが、終盤は遊び人の理解者であり協力者になりました。商人自身は物語の最初から最後まで変わっていません。わりと完成されているキャラです。革命イベントも自分の信念に従った結果なので、反省はしても後悔はしていないでしょう。チャキチャキですが潔白な人なので私腹を肥やしてはいない設定です。
 遊び人が成長するきっかけを作ったのも彼女なので、ストーリーには欠かせないキャラでした。
 商人のその後は匂わすだけで描写していませんが、遊び人への宣言通り、自分の信念のためにまたバリバリと働くことでしょう。今度は商人の町での反省を活かして。
 


 ……蛇足になってしまった感がものすごいですが、こんな感じで描/書いていたお話でした。シリーズはこれで終わりですが、今後も彼女らのイラストは描いていけたらいいなと思います。
 これまでご声援くださった方、読んでくださった全ての方に、厚くお礼申し上げます。
 少しでもお楽しみ頂けましたなら、これに勝る喜びはありません。心より、ありがとうございました。

2012年12月24日 伊都 拝

 

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