06 まどろみの中で

 

 

 


ルイーダの酒場
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「……うぅ〜……勇者のばかぁ……うらぎりものぉ……」

 

「久し振りに帰ってきたら……あんた、こんなトコで何やっとん?」

 

 

57

 

置いてかれたぁ!?勇者に!?

「そうなのよ……。勇者にとって私って、その程度だったのよぉ……
なんか……なんか、私、バカみたいよね……」

 

 

58

アホかあんた〜〜〜ッ!!
勇者はあんたを危ない目に遭わせるのが嫌で置いてったんやろ!
なァにを飲んだくれとんのや!しっかりせぇ!!

 

 

59

「……ありがとう商人。私、間違ってた……!」

「分かればええ。さぁ、勇者が迎えにきた時に恥ずかしないようにやな……」

「私……私、勇者を追いかける!!

「え、そう来る!?」

 
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「お願い、手伝ってほしいことがあるの」

 

「しゃーないな、付き合うたるわ。……で、どこ行ったらええん?」

 

「……まずは……ダーマよ!」

「へ!?」

 

 

ダーマの神殿
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「あんた……ええん?賢者なんかなりたないってあんなに……」

「いいの。もう勇者の足手まといになりたくないの。レベル上げだけ付き合って!」

 

 

レベル上げ中
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「ちょ……あんた、トバしすぎちゃうん……」

「何言ってるの! のんびりしてたら勇者に追いつけないわ!」

 

 

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「遊び人に回復される日が来るやなんてなぁ…。
あ、もう遊び人じゃなくて賢者サマ、か」


「『遊び人』でいいわよ。どうせ、勇者のサポートが済んだらまた元の職に戻すんだから」

 

 

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「ふーん。大穴の先に異世界があるんかぁ……」

「びっくりよね。でも、商人にとってはビジネスチャンスってやつじゃないの?」

「……いや、興味はあるけど、うちはこの世界だけで商売するわ。風呂敷は広げすぎてもアカンしな。
まずは自分の世界の経済を回して、社会を豊かにする歯車を作るんや」


「……へぇ。なんだか意外」

 

 

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「ねえ商人……。私、あなたのこと最初は嫌いだったの」

「ああ、知っとるで」

「でもね、今はあなたがいてくれて本当に良かったと思ってるの」

「……はは、それは知らんかった」

 

 

 

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「じゃ、気をつけてな。勇者によろしく」

「商人、ありがとう。私……」 「ああ、辛気臭いのはナシナシ。お礼なら二人揃ってから言いにきいな。
……遊び人、あんたなら大丈夫や!」


「……そうね。商人も、元気で」

 

 

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