02 世界をまわる

 

 

 



ポルトガ
15

「どーも!勇者さんですね。
ポルトガ商業組合から派遣されました、商人です。
船員ももう揃てますし、いつでも出航できますよ!
船の運用管理にうちも同乗させてもらいますんで、どーぞよしなに!」

(……何なの、この女……)

 

ランシール
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「ちょっと〜……町の中までついてくるわけぇ?」
「そらァ寄港した手前、商人ギルドに顔出さんとあきませんから。
あと、特産の消え去り草を船に積んどけば次の港で高ぉ売れますし」

「……ふ〜ん」

 

スー
17

「ねぇ商人、この馬しゃべる……」

「――手間が少なく荒地でも育つ作物!? それホンマか!?」

「……取り込み中みたいね」

 

船中
18

「一旦ルーラでランシールに戻るのが良さそうやな」
「商人、ここは?」
「ああ、テドン? そこは滅ぼされたっちゅう話やけど」

(ふんだ、すっかり仲良くなっちゃって……)

 


19

「遊び人、最近なんか機嫌悪い?」
「つーん。なんのこと?」

 

 

テドンの岬
20

「あれ? 商人は来ないの?」
「うち、経済の流れから外れとるトコに興味ないねん。帳簿つけがてら留守番しとるわ」
(てことは……久々の二人っきり!)

 

テドン
21

「な、なんで村人がいるの? 勇者……なんだか変よ、ここ……」

 

ランシール
22

(どうか、どうか勇者をお守りください)
「も〜、心配性やなぁ遊び人は。勇者なら大丈夫やって」
「う、うるさいわね! 念のためよ!! 怪我したら介抱するの……私なんだから!」

 

船中
23

 

                                                                        「商人のお蔭でやりくりが楽になったよ」

                                                                                    「せやろせやろ〜金の工面はうちに任しとき!」

 

 

海賊の家
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「んふっ、風変わりなパーティだねぇ。気に入ったよ」

 

 

商人の町
25

「町をつくる!? ここに!?

……なるほど、風除けに適した急峻な山脈に囲まれた上に水深も深く、投錨抜錨に適した砂混じりの軟泥……天然の良港といえなくもない。
おまけに背後には手付かずの大自然。材木は豊富にあるし、この辺りは小っさい集落がポコポコあるから人足にも問題なさそうや。
ポルトガまで二日、ロマリアまで四日、エジンベアまで海流に乗って三日。帰りは倍としても……うん、好条件やな。
それに、あのスーで見た不思議な野菜……あれは金になる匂いがプンプンする。ちぃっとポルトガから若い衆を呼び寄せて……


いける!いけるでおっちゃん!!
この町はスー大陸の貿易拠点になれる!!」

 

商人の町
26

「じゃあ商人、がんばって」
「勇者、迷惑かけるけど堪忍な。……遊び人、ちょいこっちに」
「……?」

「水差してもうて悪かったなぁ。がんばりや」
!!? なっ、なん……ワケわかんない!」


船上
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「……静かねぇ」
「そうだね」

 

 

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