01 冒険の旅
あるところに「さびしがりや」の女遊び人がおりました。
「なによ」
「一人だって楽しいわ」
「……」
「や、役になんか立ってあげないんだから」
「うん」
「休みたいときはすぐ町に戻らせてくれないとパーティ抜けちゃうんだから」
「うん」
「え、金の冠? 引き受けたの??」
「うん」
「全くもう、お人好しねっ」
「ちょっとー! なんで逃がしちゃうわけ!? 信じらんない!」
ノアニール
「な、なんで死んじゃうのよ…… 生きてれば……いつかは……二人ともバカよ……っ!」
アッサラーム
「こ、この町は勇者にはまだ早いわね。ほら、余所見しないでまっすぐ宿屋へ行くのよ」
ピラミッド
「ほ、ホラ、こ……怖くないように、てて手を繋いであげるわっ」
「うん」
5秒後
「キャーッ! キャーッ! イヤ―――ッ!」
ポルトガ/ノルド宅
「今度は黒胡椒のお使い?
王侯貴族って勇者のこと便利屋か何かだと思ってるんじゃない!?」
バハラタ
「ひ、人攫い!? 大変! 勇者、助けに行くわよ!!」
カンダタのアジト
「バカバカバカーッ!! なんで二回も見逃すの!? お人好しにもほどがあるわ!!」
「だって人質の二人も、君も無事だったから」
「……っ」
ダーマ
「賢者になんてならないわよ? 私はこのままでいたいの」
「そっか、遊び人らしいね」
「……え、いいの? ……ホントに?」
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